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きっずくらぶ

【サンプル】教育コラム

サンプル①

“子と共に”の「子育ち」 親子で楽しもう

 ある日のこと、何気なく新聞をめくっていたら「日本の子ども『勉強面白い』最下位 民間研究所11カ国を調査」という見出しが目に飛び込んできました。
 この調査は、民間の基礎学力研究所が行ったアジアや欧米諸国11カ国の6歳から15歳の子どもとその保護者1000組に対して行われたもので、日本の小・中学生が諸外国と比べ、勉強を面白いと思わず、得意な教科がないことが浮き彫りになったと記事に書かれていました。

 少し暗い気持ちで廊下を歩いていると、元気な3年生の子どもたちが、私の手をつかんで「先生、来て! 来て!」と言って、私を廊下に置かれた虫かごの前に連れていきました。そこで目にした光景は、モンシロチョウが羽化する瞬間でした。
 顔をギリギリまで虫かごに近づけながら、ジッとその様子を見つめる子どもたち。「すごいね」「先生、卵から育てたんだよ」と、得意げに語ってくれました。
 その私たちの後ろでは、カエルを捕まえた子どもたちが「入れものない? 入れもの!」と言って、水槽を探し回っています。
 私は、なんだか嬉しくなって、子どもたちと一緒に「今年一番の感動!」と叫んでいました。

 翌日は、1年生の子です。「先生、こっち! こっち!」「私のアサガオ、こんなに大きくなって、ツルが支柱にまきついてきたんだよ」と目を真ん丸にして話しかけてきました。
 その翌日、今度は2年生。
 「先生、昨日は、一本の鉛筆を最後まで使いきると、学校から大阪湾まで線を書くことができると教えてくれたけど、このマジックペンだったら、どこまで書けるかな?」と矢継ぎ早に尋ねてきました。
 それを横で聞いていた5年生が、「先生、大阪名物のたこ焼きの“たこ”も、実はアフリカ産だって知っていましたか?」と得意げに質問してきました。

 こうした子どもたちの生き生きとした姿を見ていると、本来、どの子にも、このような「未知のことを知りたいと思う心」や「発見する喜び・感動」が満ち溢れていると思えてなりません。

 さて、わが子が小さいうちに、“よい習慣”を身に付けさせたい、“学びの力”を伸ばしたいと思うのは、どの親御さんも願われているところです。しかし、なかなか思うようにいかないのも現実です。
 ベネッセ教育総合研究所によると、幼児を抱えるお母さんの7割が、コロナ禍で我が子がうまく育っているか不安だと感じているそうです。
 「この育て方でよいのか」という迷いと、「確かな手応え」が感じられないまま、子育てに奮闘されているのが実態ではないでしょうか。

 かつて、私が親として、「子育て」に悩んでいたとき、先輩から「『子育て』から『子育ち』に気持ちを切り替える」というアドバイスをいただきました。「子育て」は、“親が子を育てる”ということ。「子育ち」は、“親が子と共に育っていこう”という意味です。
 「子どもは、植物と同じように、自ら成長したいと思っている。親の役割は、その子どものもつ“可能性”と“自ら育つ力”を信じて、愛情を注いでその子と関わり、見守ること。そして、『共に進んでいく』と心を決めること。だから、子と共に育っていく“子育ち”なんだよ」との励ましの言葉に、肩の荷がおりたように感じ、自然体でじっくりと子どもに関わることができるようになりました。それからは、一緒に取り組むことに“楽しさ”を感じるようになりました。

 子どもは、外から入ってくる事柄に「好き」「嫌い」という「ラベル」を貼っていきます。そして、その後に、その事柄を理解・判断していきます。
 つまり、物事に取り組むスタート時点は、「好き」「嫌い」という“感情”が、とても大きな役割を果たしているのです。
 学校という教育現場でも、勉強そのものが好きというよりも、〇〇先生が教えてくれる勉強が好き、クラスのみんなと一緒にする勉強が好きということから、学ぶことに興味を持ち始めたという例は少なくありません。この傾向は、年齢が低いほど顕著にあらわれます。
 時代が大きく変化してきている現代は、子どもたちの学びの動機(モチベーション)も昔と異なっています。
 教育デザイン研究所代表の石田勝紀さんは、講演の中で、「気合い・根性・努力」の「20世紀型キーワード」に対して、「21世紀型キーワード」は、「楽しい・面白い・ワクワク」だと主張しています。

 一生の間に、親子が共に過ごすことができる時間は、母親が「7年6カ月」、父親が「3年4カ月」だと言われています。
 その半分以上は小学校時代までに過ぎ去ってしまいます。
 一生は長いようで、子どもと一緒にいることができる時間は短いのです。この限られた時間を大切に過ごしていきたいものです。その時間を大切にするカギは、「共に楽しむ」ことだと思うのです。

 創立者池田先生は、子どもたちに、

「空は なぜ青いのか?
磁石に 鉄が
吸い付くのは なぜか? 
恐竜は なぜほろびたのか? 
宇宙の果ては 
どうなっているんだろう? 
『なぜ?』『どうして?』と  
問いかける心 
それは『科学者』の心だ」

と語られました。そして、

本当に頭がいい人とは、たくさんのものごとを知っている人ではない。むしろ、『なぜ』『どうして?』と、いっぱい疑問をもって問い続ける人ではないでしょうか。そして、すぐに答えが出なくても、ねばり強く考えぬいていく人です」

 と呼びかけられました。(『希望の大空へ』「小さな疑問が大きな力に」 強調・下線は筆者) 
 赤や青、紫など、色とりどりの紫陽花を眺めながら、こうした「子育て」、いえいえ、「子育ち」でありたいと思う昨今です。(晃)

サンプル②

子どもは“笑顔の宝箱”

 いち早く春を告げた梅の花も、暖かな風に舞い、春の主役のバトンは桜に渡されました。
 桜花爛漫の季節の中で、“希望の城(関西創価小)”は、喜びに胸を膨らませる新入生を迎える日を心待ちにしています。
 前回のコラムは、「泣く」ことでしたが、今回は、「笑顔」をテーマに筆を進めたいと思います。

 本校を訪れた多くの方は、「笑顔いっぱいの学校ですね」と、訪問の感想を述べてくださいます。 関西創価小学校のスクールポリシーは、 「明日も行きたくなる学校 未来につながる学校」ですが、「明日も行きたくなる学校」とは、「笑顔いっぱいの学校」とも言えます。

「笑顔」が身体に与える働きは、さまざまあります。
① 免疫力をアップする
② 脳の働きを活発にする
③ 幸せな気持ちにさせる
など、その効果は絶大です。

 よいことばかりが挙げられる「笑顔」ですが、「子どもを叱るために、つい大声を出してしまう!」、「毎日の子育ては修羅場です!」など、疲れて“笑顔でいられない”という声も聞こえてきます。 
 子育ては想像以上に大変だと思いますが、その中で楽しさを実感し、いつも笑顔でいられたら幸せですよね。そんな子育てができる秘訣を綴ってみたいと思います。

1.“楽しむ”ために「笑顔」をつくる

 人には感情があり、その感情に応じて表情が作られます。したがって、笑顔も“嬉しい”や“楽しい”といった感情から自然に湧き上がってくるものです。笑顔はそうしたポジティブな感情の産物ですが、「失笑」「苦笑」「冷笑」「嘲笑」といった「ネガティブなもの」や「作り笑い」と呼ばれるものもあります。
 でも笑顔には、“特別な力”があります。「作り笑顔」「感情」の関係には、面白い事実が隠されているといいます。
 脳科学の研究によると、「楽しいから笑う」ということの他に「笑うから楽しい」という感情が生まれることも分かってきました。つまり、“楽しい”⇨だから⇨“笑う”ということもあれば、“笑う⇨だから⇨“楽しい”という、両方のベクトルがあり、不思議なことにその効果は、“どちらも同じ”だと言うのです。不思議ですよね。笑顔の力ってすごい!
 私が強く心に残っている創立者・池田先生の言葉があります。

 「幸せだから微笑むのではない。微笑んでいくことが幸せの因になっていく。幸せだから微笑む、幸せの結果として微笑むんじゃないんだ。どんな大変なときも、そこでにっこり笑っていく、その命に福運が増していく」

 毎日の生活には、いろいろな出来事が起こり、様々な感情が入り混じります。そうした中で、子育てをしているのが、現実の姿です。
 しかし、漣(さざなみ)のように起こるそうした感情に左右されるのではなく、いつも自分の気持ちを“前へ 前へ”、“上へ 上へ”と向けていくことが大事なのです。

2.「子どもは“笑顔の宝箱”」子どもをよく見よう

 子どもは“笑顔の宝箱”です。意識して子どもをよく見るようにすると、こちらが笑顔になることがあります。
 いろんなことが起こっても“微笑みを忘れないでいこう”と決めて生活していくと、様々な発見があり、楽しくなってきます。ここからは、私の体験です

私には2人の男の子がいますが、特に下の子の言動には、よく笑わされました。
息子は、小さいころから人が集まる雰囲気が好きで、いつも母親に連れられて活動に行っていました。そこに集っていた“大阪のおばちゃんたち”は「よく来たね」と言って、とてもかわいがってくれました。そして、「ごほうび!」と言って、飴をくれました。
彼は、その頂いた飴を毎回、舐めないで、ガリガリと音を立てて食べていたのです。
そんな奇妙な行動が何日か続いたある日、突然「おばちゃんたちから飴をもらうのが“こわい”」と言い出したのです。不思議に思って尋ねると「だって、テレビで『舐めたらあかん!』、『舐めたらあかん!』って言っているでしょ。だからボク、噛んで食べてるの……。でも歯が痛くなってきちゃって……」と真顔で言うのです。天童よしみさんの「のど飴のコマーシャル」のことですね。思わず笑みがこぼれてしまいました。

 また、こんな出来事もありました。
 「今日は信号、全部に引っかかって、時間に遅れちゃった。ゴメンね」と頭をかきながら謝るおばちゃんを見て、「どうやって、あんな高いところにある信号機に、ひっかかっていたのだろう?」と思っていたそうです。なんとまあ、「そうとるか」という感じですよね。

 さらに、こんなエピソードもありました。
 うちの近くには、明治時代の初期に建てられた公立小学校があり、その庭に「二宮金次郎」の銅像がありました。薪を背負って本を読んでいるあの銅像です。それを見た彼は、「あの子、いつも本を片手に、お机を背負って大変だな」と思っていたと言うのです。
 金次郎さんが背負っているのは“薪”ではなく、“机”を背負っているように見えたんですね。薪を使うことがほとんどない現代では、薪より机の方がストーリーとしては、つながりますよね。

 このように、子どもの生活を注意深く見ていると、いろんな発見があり、親であるこちらが思わず笑顔になってしまいます。
 子どもは、大人は気付けない“子どもならではの視点”があって、親を楽しませてくれます。おもちゃを自分なりに工夫して遊んだり、森の虫や花、飛んでいる飛行機やヘリコプターを見て大喜びをしたりするなど、子どもの周りには、不思議な出来事がいっぱいです。だから、子どもは「笑顔を与えてくれる“宝箱”」なのです。

 でも、そんな素晴らしい“宝箱”も、その中身を見ることができない時があります。
 それは、私たちの ㋐子どもに対する要求が高かったり、㋑完璧すぎたりするとき、また、親である私たち大人に ㋒時間に余裕がなかったりすると、その宝箱の中身を見ることはできません。
 私たちが、いつも微笑みを絶やさず進んで行こうと決めて、子どもたちを見つめていれば、子育てが楽しいと感じられるのです。

 人の脳は、ミラーニューロンという神経細胞があり、自分がみている人の感情を再現するといいます。
 つまり、私たち親が笑顔なら子どもも笑顔になります。そうして笑顔が広がっていきます。
 「笑顔にあふれた家庭ほど、幸福なものはない」との創立者のお言葉が思い起こされます。
 「笑」と「咲」は同じルーツの字だと言われています。微笑みのある「成長家族」の中で、子どもはすくすくと育ち、可能性という大輪の花を咲かせていくと思うのです。(晃)

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